2011年1月、日本初のタクシー配車アプリが日本交通から登場した。その年の12月にはダウンロード数が15万件を超え、アプリ経由の売上が1億5000万円に。しかも、その多くが新規顧客であったという。
GPSとマップ機能で簡単に場所を指定できるという利便性から、当然、東京の近県はもちろん、全国各地でもこのアプリを利用したいという声が膨らんだ。
ところがタクシー会社は営業できるエリアが認可で決まっていて、日本交通は東京23区、および武蔵野市と三鷹市限定。そこで日本交通は自社だけではなく、全国のタクシー会社で利用できるようにプラットフォーム化を決意、センターシステムをクラウド化し、アプリをSaaS型で低価格で提供し、全国のタクシー会社への営業活動を行った。その結果、2012年4月現在、サービス提供エリアは全国24都道府県、提携タクシー会社37グループ、提携タクシー台数12,514台。アプリ経由の売上は同年3月に日本交通タクシー配車と合計で3億円に達した。 アプリが新規顧客層を開拓して、相応の売上を上げ、業界そのものの活性化に寄与している稀有な例として評価された。
グロンサン強力内服液は競合の多い栄養ドリンク。限られた予算の中で、競合の大量マス出稿に対抗できるコミュニケーション方法を考えた。そこで浮かんできたのが、〝サラリーマンの第二のベッド〟ともいえる電車。そこをコンタクトポイントに、グロンサンが、サラリーマンを支援するための栄養ドリンクであることを訴求できるアプリを開発した。
通常は別機能である「電車乗り換え案内機能」と「アラーム機能」を組み合わせた、画期的な〝電車寝過ごし防止アラーム〟アプリが「お疲れさんアラーム」だ。
目的地に着く1分前に、アイドルから掛かってきた電話風に起こしてもらえる。着信画像はコレクションでき、全画像を集めるとスペシャルムービーが出現する仕組みだ。
さらに、スマートフォンのジャイロスコープ機能を活用し、寄りかかり防止機能(寄りかかりそうになると、身体の傾きを感知してスマホがバイブする)もつけた。そのほかにも、ユニークな機能として、急ぎの電話がかかってきたかのように鳴る「会議抜け出しアラーム」機能もある。
その結果、公開4カ月間で10万ダウンロードを達成し、前年同期比で売上36・7%アップに貢献。ブランドサイトへのアクセス数も対前月比400%を超えた。
これまで味の素がアプローチできていなかった若年ママの代表として全国に30万人いるといわれるギャルママに狙いを定め、調理機会の拡大、味の素の調味料の使用頻度アップ、さらに企業好意度アップを目的としたモバイルサイト(フィーチャーフォン向け)を開設した。
それは、「カンタン、かわいい、経済的なレシピ」をシェアできる「mamaごはん」サイト。このサイトから派生した全国各地でのイベント、ユーザー投稿レシピを集めたレシピ本の発行、ギャルママ雑誌「I LOVE mama」との連動連載企画など年間を通して複合的な施策を展開した。
その結果、全国のギャルママからの支持を受け、サイトの認知率は8割超え、利用経験は7割弱、3割は週1回以上利用し、2割が「最もよく使うサイト」として同サイトを挙げた。個性的なギャルママ料理を集めたレシピ本の認知率も8割を超え、ギャルママの2割が購入したという。
企業イメージ調査でも「親しみを感じる」「人に薦めたい」ともに味の素がトップに。高いロイヤルティの獲得に成功。
なお、ギャルママに対する世間のイメージも一新。多くのメディアが同サイトに集まるギャルママを報道。新市場を開拓したといえる施策として評価された。
ブランドによる飲食店と顧客のエンゲージメントを高めるためのクーポン管理プラットフォームを開発。カールスバーグ取扱い店舗がこのプラットフォームを導入すると、個店独自の来店者インセンティブクーポンの発行を自由に行うことができる。来店者(20代~30代の男女がターゲット)はスマートフォンを使って、専用のクーポンバッジサイトから、チェックイン機能でクーポンをゲット。それを店員に見せるだけで、使用することが可能だ。行けば行くほどクーポンはグレードアップ。クーポンバッジにはバリエーションがあり、コレクションも可能。プロフィールアイコンにも活用できる。
ベースには、同社営業担当と飲食店オーナーをつなぐ独自開発のイントラネットが動いていて、ブランドサイトやFacebookページでブランドや店舗、クーポンについて情報発信を行い、クチコミを促進している。
Facebookページのファン数は1カ月で8,000人に増加し、現在では20,000人(2012年6月現在)を超える数になっている。全国展開を期待する口コミも寄せられ、取扱店への来店促進にも貢献している。
メーカーと店舗をブリッジし、消費者に訴求するシステムへのモバイル活用が高い評価を得た。
2011年11月に、新規ファンの獲得や商品認知を目的としたソーシャルゲーム「MUJI LIFE」をリリース。これはウェブサイトの自分の棚に、毎日届く段ボールの中に入っている無印良品の商品のデジタルフィギュアを並べるというゲーミフィケーション。今プッシュしたい商品認知を高めてもらうとともに、そのままネットストアに飛ぶこともできる。
iPhoneアプリである「MUJI LIFEチェックイン」は、これを来店動機の喚起につなげようとしたもの。全世界の無印良品店舗でチェックインすると、チェックイン時のみ出現するウェブサイト上の自分の棚に並べられる独自のデジタルフィギュアやMUJI COINなどをゲットできる。
アプリのダウンロード数は5月16日現在で2万5千以上。国数は何と57カ国。総チェックイン数は約4万回。利用するにはFacebook、Twitter、mixiのいずれかのアカウントが必要なので、つぶやきやコメント、アイテムのプレゼントなど、SNSとの連動性は高い。また、無印良品が提供しているソーシャルメディアと連携するその他のコンテンツとMUJI COINプラットフォームで連動している点も評価されての受賞となった。