最終審査員

「コードアワード2018」審査員長

伊藤 直樹 / Naoki Ito

PARTY
クリエイティブディレクター

今年も論客揃いの審査員たちが熱く議論したのは、広告の未来や広告業界そのものを客観的に、冷静に捉え、この受賞作リストが、我々審査員からの、さらにコードワードからの強いメッセージになっているかどうかでした。審査後、今年の受賞作リストをあらためて眺めてみると、マーケッターやクリエイターのクリエイティビティの多くは、もはやサービス開発やプロダクトやコンテンツそのものに力が注がれていることがよくわかります。1歩先の未来ではなく、もうすぐやってくる5G時代の、レイテンシーなき、半歩先の世界を示したNTTドコモのFUTURE-EXPERIMENTはグランプリにふさわしい実験であり、素晴らしいコンテンツだと思います。また、ここ数年のヤフーさんが試みている活動は、まさにマーケッターとクリエイターのクリエイティビティの賜物であり、みずからの社会的影響力と社会的責任を自覚した姿勢は、心から敬意を表すべきものであると考えます。今年も素晴らしい受賞作がたくさん揃いました!関係者のみなさま、本当におめでとうございます!

齋藤 精一 / Seiichi Saito

Rhizomatiks
Creative Director / Technical Director

昨年に引き続き広告とはなにか?を問われる審査でした。受賞した作品の全てが旧来型の広告領域を飛び出した印象です。多くの作品が実証実験の延長であり、問題提起であり、社会に向けた新しい視点の示唆であったとおもいます。広告は姿をすっかり変えてしまいましたが、広告の役割である表現やエンターテイメントは今まで以上に幅が広がり、バリエーションが増え、サービスになる場合もあるほど多様化したと思います。広告主も広告を創るクリエイティブも更に時代を追うのではなく先回りをすることで強いメッセージ=訴求・流布・昇華できる個人的には面白い時代になったと思います。来年もどのように発展するのか、どのような形で広告が変化するのか非常に楽しみです。

佐々木 康晴 / Yasuharu Sasaki

電通
エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター

今回、初めてコードアワードの審査に参加させていただきました。刺激的な時間でした。ここ数年のコードアワードは、他の広告賞では選ばれないユニークなものが受賞していることが多くて気になっていたのですが、審査に参加してその理由がわかったような気がします。広告的な表現の良し悪しとか、技術の凄さとか、業界内の事情とか、近視眼的なマーケティング成果で選んでいるのではなく。様々な専門的視点からの、その施策がちょっと先の未来にもたらす価値、で選んでいるといいますか。だから、受賞した皆さまは、けっこう喜んでいいんじゃないかと思います。もっと応募が増えるといいなあとも思います。そして、他の審査員の方々のお話が面白い。審査会での、「そういえば…」の雑談だけでご飯三杯いける感じでした。

佐藤 カズー / Kazoo Sato

TBWA\HAKUHODO
チーフ クリエイティブ オフィサー

デジタルはトレンドも早ければ風化も早い。よってコードアワードの審査の視点も毎年進化していっています。 今年選んだものは来年はもう古い。。。なのですが、できることならそういったトレンドには振り回されず、また、”なんちゃってAI”などには首を突っ込まず、骨太でスケールのあるデジタル体験を目指しているものが最終的には強い作品として輝いたような気がします。
グランプリの5Gの仕事を見ていて、今後は撮影に行かなくてもリアルテイムにテイクが見れるかも!などなど、来たる未来にワクワクしました。次のデジタル未来への示唆としてインスパイアするものになるといいなと。

田川 欣哉 / Kinya Tagawa

Takram
代表 / デザインエンジニア

デジタル広告と、プロダクトやサービスの垣根は、どんどん解けてきています。一つの事業を、広告的にもプロダクト的にも、つまり多面的に捉えることがクリエイターには求められていると思います。その意味で今年のグランプリは、その内容と仕上がりが多面的にハイレベルに構成されている点で横綱的存在感を発していました。引き続き、プロダクト・サービスど真ん中の作品も、どんどんエントリーされるアワードになってくれればと思います。

田中 里沙 / Risa Tanaka

事業構想大学院大学
学長
宣伝会議
取締役 / メディア情報統括

デジタル体験が日常に浸透してきた現在、コードアワードに集まる作品は、企画内容も活用するメディアも技術も、まさに多様です。同じ土俵上で優劣は付けがたく、今年の審査会ではとても深い議論が続きました。部門に沿って、新しい広告、メディア、キャンペーンとは何か、そして革新性とは何かを熟考しながら、新鮮な一つの解を提示した作品との出会いを楽しませていただきました。きらりと光るアイデアがあり、施策が盛り上がり、その前後で明らかに何かが変わったであろう作品が選出されましたが、受賞作には誰かに話したくなる、紹介したくなる魅力が溢れていました。コードアワードでは未来の兆しが体感できます。課題を発見し、新たな価値の創出に成功した受賞者の方々が、さらに革新的でクリエイティブな提案に挑戦されることに期待を寄せつつ、ますます注目していきたいと思っています。

築地 Roy 良 / Roy Ryo Tsukiji

BIRDMAN
代表 / クリエイティブディレクター

コードアワード受賞者のみなさま、本当におめでとうございます。
今年審査中にキーワードで上がっていたのが、「コードアワードっぽい」という言葉でした。コードアワードだから褒めてあげられる作品にスポットライトを当てようと。そういう意味でも今年もコードアワードらしい作品が受賞していると思います。1点気になったのが、今年はAI/ディープラーニングを使用した作品がとても多かったのですが、残念ながらそれら全てが同じようなエグゼキューションになっていたことです。流行のテクノロジーを使うのは良いのですが、こんな使い方は想定してなかった!と思わせるエグゼキューションが欲しかったですね。今年は全体的におとなしい印象だったので、来年はさらにぶっ飛んだ作品が上がってくることを期待しています!

本間 充 / Mitsuru Homma

電通マクロミルインサイト
CDO
アウトブレイン
顧問

デジタル・エクスペリエンスについて、とても考えさせられる審査会になった。以前のコードアワードであれば、デジタルを使った、デジタル空間の体験を設計すれば、デジタル・エクスペリエンスだった。しかし、今年のコードアワードは、デジタル技術を使った、リアルな体験や、デジタル空間以外を使った「体験」の応募も数多くあり、受賞作品に選ばれた。もちろん、AIやデジタル・データを使った新しいコミュニケーションも存在している。しかし、今年の審査で私が感じたのは、デジタルと旧来のアナログには、境界線がなくなったことだ。これから私たちが顧客に提供する体験には、デジタルが標準で存在するのだろう。大切なことは、デジタルを使うことではなく、体験の最適設計である。デジタルの進化により、このコードアワードは、1周回って、体験・コミュニケーションの企画・設計・実行が重要なテーマになったのだ。

(審査員長以下、五十音順)

一次審査員

イム ジョンホ / Jeong-Ho Im

mount inc.
アートディレクター / クリエイティブディレクター

受賞者のみなさま誠におめでとうございます。
作品をみさせていただく中で、デジタルという手触り感がなさそうな言葉に収まらない、体と心の体験や気づきを持ち合わせた作品に結果的に票を入れた気がします。届けたい人と届けられる人がこうした感覚でつながる作品が、もっとできることを願います。

尾上 永晃 / Noriaki Onoe

電通 CDC
プランナー / コピーライター

デジタル(インタラクティブ)の概念が拡張しているなと如実に感じました。一人の人間の入力に対する出力という概念だけだったものが、一人の人間/企業の入力に対する社会の出力という概念まで含むように。狭いものも広いものも両方価値がある時代だからこそなのか。
いや〜デジタル体験って面白いものですね。

内間 ローザ / Rosa Uchima

Google ZOO
クリエイティブ・テクノロジスト / デザイナー

人の記憶に残るのは、人の言動そのものではなく、どんな感情にさせてくれたかだと思います。今回審査させて頂いた作品には面白くも心動かされるものが多く、特にダイバーシティやインクルーシブネスが土台にあるUXプロジェクトに感銘を受けました。多様性に敬意を払ってこそ感動を生みますし、多様性の尊重こそ創造力の源になると思います。

北田 荘平 / Sohei Kitada

THE GUILD
UI/UXデザイナー / フロントエンドエンジニア

一つ一つの応募作品を楽しく拝見させて頂きました。
テクノロジーによる最適化・効率化と、作り手による細部の詰めが相互に支え合うことで、よりシンプルで強力なメッセージを生み出せると思っています。そのような意志を持った作品・作り手の方たちを応援したいと思いながら、審査させて頂きました。ありがとうございました。

梅田 哲矢 / Tetsuya Umeda

TBWA\HAKUHODO
クリエイティブチーム プランナー

審査を経て感じたこと。それはコードアワードは、ガラパゴスなアワードだということ。もちろん、ネガティブな意味ではない。グローバルを意識しすぎると、かえってグローバルに辿り着けないことが多い。グローバルイシューとは全く別世界で展開されるこのアワードは、逆説的にそれが個性に化け、グローバルへのいちばんの近道になるかもしれない。

金 高恩 / Goeun Kim

Japan Taxi
取締役 CMO

受賞者のみなさま、おめでとうございます!
視覚や聴覚はもちろん、リアルとの連動による五感を刺激する広告が増えている中、今年の作品は人の心に訴えかけるものが多いように感じました。「心を動かす」コンテンツと「自然な」最先端の技術が組み合わさったデジタル広告のイノベーションを垣間見たように感じました。

小川 晋作 / Shinsaku Ogawa

meet & meet
コミュニケーションプランナー / プロデューサー

ありとあらゆる作品がある中で、デジタルに求められていることが多様化した時代の中で評価は非常に難しかったです。ただ、今回採点を高くつけさせていただき、受賞されている作品はありふれた技術でも「アイデア」と「ストーリー」が加わることでとてもシンプルでかつ強い作品になっていたかと思います。

金 ジョンヒョン / Junghyun Kim

博報堂
Technologist / Interactive Planner

テクノロジーがもたらす生活への影響力は年々増えています。審査では、その影響力をリアルに感じることができました。テクノロジーを駆使したコミュニケーション施策や広告の枠を超えたプロダクト・サービス領域も数多くあり、自分自身にとっても刺激になりました。

栗林 和明 / Kazuaki Kuribayashi

CHOCOLATE inc.
Buzz Machine

応募作品を見てまず焦りました。「レベル上がってる…」。
特に嫉妬した作品が、テクノロジーとタレントの力を最高の形で昇華させ、ソーシャライズされた映像で話題を最大化させた "ぷっちょあーん4Dゴーグル"。そして緻密な構成でバンパー広告をバズムービー化する発明に成功した"マッハバイト"です。心から拍手を送りたいです。

富永 久美 / Kumi Tominaga

R/GA
Creative Technology Director

今年のラインナップは、社会的なテーマ(働き方革命、アクセシビリティ、透明性、環境保全)や、未来性を持つ作品(AI、MR、癒し系ロボット、スポーツテック)など、興味深い作品が沢山ありました。モノよりコト(体験)に着眼した成功例も幾つか見られ良かったと思います。
皆さま、受賞おめでとうございます。

贄田 翔太郎 / Shotaro Nieda

CHERRY
PR / Creative Director

デジタルの世界において特定の新たなテクノロジーが潮流をつくる時代は終わり、これからは果たすべき“役割”から真摯に検討されたコミュニケーションが生き残っていく。そのことを実感した審査でした。そして個人的にはQooboのような引き算発想の作品に、今後の日本のインタラクティブ業界の指針を見た気がしています。

藤牧 篤 / Atsushi Fujimaki

IMG SRC / NON-GRID
アートディレクター / デザイナー

導入しやすくなったAIを使ったアイデアや、時期的にスポーツをテーマとしたアイデアが多かったように思います。アワードとは、その時代性を反映するんだなと改めて感じました。そんな中で、選ばれた作品はどれも、テクノロジーの組み合わせや使い方が非常に上手く、作品が存在する必然性をくっきりと感じさせるものだったと思います。

松重 宏和 / Hirokazu Matsushige

1→10design, Inc.
執行役員 / クリエイティブディレクター

アイデア自体は新しいのに、どこかで見たことのあるフレームや表現に落とし込んでしまったために評価を落とさざるを得ない「もったいない」作品がいくつか散見されました。常日頃から世界中の優れた作品をインプットし、それを超える作品を生み出そうと企んでいるか。今回の審査結果は、普段の想いや行動の差が、結果の差として表れていると思います。

山中 雄介 / Yusuke Yamanaka

AID-DCC inc.
プロデユーサー / クリエイティブディレクター

受賞された方々おめでとうございます。とても勉強になる作品、嫉妬する作品、疑問が生まれる作品、様々な感情がグニュグニュされて面白かったです。特に『つくり手のグツグツした熱量』、『課題を鮮やかに超えていく様』はとても刺激的でした。個人的にはエントリーフォーマットから熱量の残り香が感じられるものが好きだなと思わされました。

米澤 香子 / Kyoko Yonezawa

電通 / Dentsu Lab Tokyo
クリエーティブ・テクノロジスト

テクノロジーが世の中に飽和していくにつれ、「世界を拡張する」というのは年々難しくなってきているのではないでしょうか。その中でも、鋭いアイデアで突き抜けたもの、高いクラフト力で評価されたもの、さまざまな視点から選ばれた作品が並んでいるように思います。
受賞されたみなさま、この度は本当におめでとうございます。

(五十音順)