コードアワード 2014 審査員講評

「コードアワード2014」審査員長
恩藏 直人
早稲田大学 商学学術院 教授
今回から賞が一新されたこともあり、多くの力作が集まったように思う。3Dプリンターなどの新しい技術を駆使した作品や複数のメディアを超えたキャンペーンが目立った。この数年、情報技術の発展によって、消費行動の変化という面ばかりが指摘されてきた感がある。だが、今回の作品を見ていると、企業側による情報機器の利用水準も明らかに高まっていることが感じられる。消費者と企業の接点は、従来のマーケティングでは考えなかったような高いレベルで展開されつつある。マーケティングの最先端の動きを感じ取ることができた。
MOVIE:審査員からのメッセージ

伊藤 直樹
PARTY クリエイティブディレクター
京都造形芸術大学情報デザイン学科教授
デジタル上の体験の創造性を問う賞。その創造性は表現だけではなく戦略性も効果も体験の質も問うという。個人的には、棒についたキュウリを食べさせることで新しい体験を提供した「おくちの中の遊園地」の創造性がもっとも気に入った。そもそも遊園地は体験の宝庫である。おくちの中の遊園地というネーミングを最初に聞いたときは全く理解できなかったが、言いえて妙な素晴らしいネーミングだなと、ハッとした。体験した子供たちはさぞかし腑に落ちただろう。あのエバラさんが実施したのがかっこいい。このエバライノベーションに大拍手。まったく総評になってないですがお許しを。それほど惚れてしまったので(笑)
MOVIE:審査員からのメッセージ

及川 直彦
アプライド・プレディクティブ・テクノロジーズ
シニアバイスプレジデント(日本代表)
個人的な話になりますが、1990年代初頭、デジタル技術を活用したマーケティングの立ち上げに自ら携わった経験から、「デジタル体験」の創造性を評価する今回の賞には思い入れがありました。そして、その趣旨にぴったりの、素晴らしい作品を各賞に選ぶことができました。実はグランプリを選ぶ議論においては、審査員それぞれが、推薦したい作品が複数あり、その結果、審査会において、かなり活発な議論となりました。それくらいレベルの高い作品が集まり、それらの作品を審査させていただく機会をいただけましたこと、大変ありがたく感じております。来年も、数多くの先進的な作品のエントリーをお待ちしております。
MOVIE:審査員からのメッセージ

杉山 知之
デジタルハリウッド大学 学長
工学博士
デジタルとリアルを様々な方法でリンクした提案に大きな時代の転換点を感じた。まさに統合デジタルマーケティングの時代ということなのだろう。審査においては、初めて賞を出すということで、大いに議論が盛り上がったが、やはりユーザーが、どのような体験ができたのかというところに論点が集中していった。ICTで、なにもかもをつなげていける世界では無限のマーケティング手法を創造できるということを確信できた。視覚と聴覚だけでなく他の感覚に訴える手法にマーケティングのフロンティアを感じたのであった。
MOVIE:審査員からのメッセージ

田中 里沙
株式会社宣伝会議 取締役編集室長
コードアワードを受賞した作品は、いま最もユーザー目線で考えられたコミュニケーション企画だと言える。これまでに体験したことのない世界を創り出す、という切り口は、大掛かりなものから手のひらサイズのもの、対象を絞り込んだものから社会に広くというものまで多様だったが、楽しさや面白さ、利便性を追求する姿勢があふれていた。設計、メディア選定など、各施策の段階で、クリエイティビティを一層強く意識することで、さらに魅力的になるものも多いと感じた。受賞作品からインスピレーションを受けて、新たな企画が生まれることを期待している。
MOVIE:審査員からのメッセージ

夏野 剛
慶應義塾大学大学院
政策メディア研究科 特別招聘教授
デジタル業界のデバイスの多様化、メディアの多様化が進む中、各社さまざまな工夫をして本格的なメディア展開をしてきた、その本気度を感じさせたのが今年の作品。もはやネットはテレビをはるかに超えた力を持つメディアになったことを証明するような作品が多かった。さらに、ターゲット層も子どもから大人まで、シニアを除くあらゆる層がターゲットになっていたのも今年の特徴。来年はさらに進化することを予見させる素晴らしい入選、応募作品でした。デジタルの進化は止まらない。したがってマーケティングの進化も止まらない。進化し続けるニッポンの底力を感じるアワードでした。
MOVIE:審査員からのメッセージ

堀江 貴文
SNS株式会社ファウンダー
コードアワードの審査に今回初めて参加させていただいた。「おくちの中の遊園地」や「3D on the Rocks」などは特に秀逸なキャンペーンであった。惜しいところはスマートフォンやタブレットでの展開がまだまだ不十分な所ではないだろうか。最新の情報端末使用状況をタイムリーにウォッチしながらより秀逸な作品が現れてくることに期待したいと思った。たとえば、「オレたちのゆきこたんプロジェクト」は雪印メグミルクのリブランディングに貢献できるポテンシャルがあり、こういった一つの秀逸なアイディアが企業そのもののイメージすら変えてしまうことができるのは広告キャンペーンのダイナミックさなのだから。
MOVIE:審査員からのメッセージ

皆川 治子
TBWA\HAKUHODO
タッチポイントエバンジェリスト
バラエティーに富み、ポジティブで、面白い作品ばかりであった。マルチメディアを使うことが当たり前になってきていること、また、オンラインとオフラインの融合がみられる作品が多かったことは、今の生活者の置かれている環境をよく反映しており、嬉しく思った。自動販売機、スマホなど、日本ならではのタッチポイントの使い方はユニークで、是非世界にも広げていってほしい。自然にターゲットを巻き込んでいる、イマドキのトレンドにのったコミュニケーションが各ターゲット年齢の中でそれぞれにみられ、全体的にポジティブで楽しい印象だった。イマドキのコミュニケーションがたくさん見られ、ワクワクする審査でした。
MOVIE:審査員からのメッセージ
(審査員長以下、五十音順)